コミックス
2005年03月07日
仮面ライダー10号
仮面ライダー10号。その名はゼクロス。歴代仮面ライダーの中で一番知名度が低かったのは、このゼクロスではないでしょうか?当時、少年誌で展開された仮面ライダーで、正月の特番で実写化されたものの、シリーズとして放映されはしませんでした。
他のライダーと違って、体の99%がメカで造られており、手裏剣や煙幕などを使う忍者ライダーです。遠く忘れかけていた仮面ライダーが脚光を浴びるようになったのは、今回ご紹介させて頂く 仮面ライダーSPIRITS のお陰と言っても過言ではないでしょう。1巻の1号ライダーの登場以降、仮面ライダースーパー1までBLACKを除く、昭和ライダー全てのエピソードが語られてきましたが、これは全て、ゼクロスの伏線となっていました。オリジナルで展開されるストーリーですが、昭和のライダーファンの方も、平成のライダーファンの方も、皆で楽しめる作品です。
2005年01月21日
昭和ニ十年八月六日
昭和二十年八月六日。この日は何の日でしょうか?広島でちょっと注意してみると、この文字が並んだお墓がいくつも見つかります。また、その数ヶ月以内の日付で並べて彫られている名前も多くて心が痛みます。そう、この日は、「死ねばいい」と思った誰かが、広島に大きな爆弾を落とした日なのです。戦争を終わらせるために、あの原爆投下が無かったら、もっと多くの犠牲者が出ていた筈だ! というのは、一理あるとは思うのですが、加害者側の言い訳でしかないと思うのです。誰にだって人の命を決める決定権なんか無い筈です。
この漫画は、非常にきれいで、さわやかなタッチで描かれています。原爆の投下場面も出てきませんし、戦後の昭和30年と平成の現在が舞台となっています。夕凪の街という昭和30年頃のお話と、桜の国という現在の大きく2つのお話で構成されているのですが、それぞれは繋がっています。第一部の夕凪の街は、35頁で終わります。最後の頁は、頁番号だけ印刷され真っ白です。でも、その頁をみて、僕は泣いている自分に気がつきました。
あれから60年経った今も、過去の出来事ではないということ。そして人一人として、この世に存在価値のない人間なんていないということ。そして、この漫画は、戦争という暗く、誰もが避けたい問題に、こんなにソフトに臨んでいても、読者に働きかけることが出来るという事実を教えてくれました。
戦争をテーマにした漫画ですが、読み終えたとき、家族の大切さ、人の幸せ、生きることの楽しさみたいな前向きな暖かい気持ちに包まれます。是非、多くの方に読んでいただきたい漫画です。
2005年01月05日
子供の頃みたイメージのまま...
子供の頃、見た記憶というのは、結構、不確かなものだと思います。僕の場合、人造人間キカイダーのイメージは、とてつもなく広がっていて、DVDやLDとしてオリジナルが発売されて、昔を懐かしんで観ようとしたら、こんな内容だったけ? と疑問に思ったりします。大人の目からみれば、危機に颯爽と登場するヒーローの姿は、どうして場所が分かったの? といったように、ツッコミしたくなる部分がたくさんあったり、着ぐるみの造形も、今の特撮のレベルと比較したら、とてもチープに見えて、がっかりしたりします。
一方、平成仮面ライダーシリーズを例にしてみると、シナリオは重厚だし、多少の矛盾はあっても、きちんと伏線が練られていたり、はっきり言って、小さなお子様に、このストーリーが理解出来るのだろうか? 逆にそんな疑問が沸いてくるような内容になっています。怪人や仮面ライダーの造形にしても、とても凄いものになっており、ブレイドに登場するアンデッドなんて、韮沢さんのデザインなのに、1話で消えてしまうなんて、そんな勿体無い。 何だか、リアルに作りすぎていて、もうこの質は落とせないのが制作側は、大変だと思います。では、どうして、特撮ヒーローなのに、子供を対象としていないような番組が制作されているのか? 僕なりの勝手な解釈なのですが、制作スタッフの方は、子供の頃、仮面ライダーをみて、憧れをもっていたのではないか? その憧れやライダーに対しての想い?が、制作する側の大人になっても残っていて、遠い記憶の仮面ライダーが各々の頭の中でどんどんと膨らんでいて、今の平成ライダーのようなお話に勝手に発展しているのでは? そう思うのです。
そこで、仮定なのですが、子供の頃のイメージがどんどん膨らんだ仮面ライダーファンの大人達が、ワクワク期待しながら読める作品があれば、みんな喜んで読むのに。そんな作品がないかと思っていたら、あるとき、本屋さんで偶然見つけました。「仮面ライダースピリッツ」というタイトルが、最初理解出来ませんでした。1冊目の表紙は、仮面ライダー1号でしたので、昔の作品を現代の漫画家の方が書き直しただけなのかなぁ〜と、あまり期待をせずに読み始めたのですが、全然違っていました。仮面ライダーの昔のエピソードがちりばめながらも、全くのオリジナルストーリーになっていて、また単なる戦闘漫画ではなく、熱い気持ちが伝わってくる とても素晴らしい作品になっていました。描かれている村枝さんも、仮面ライダーが大好きだった少年の一人だと思います。読んでいて、子供の頃のあの感動が蘇ってきました。ですから、「仮面ライダースピリッツ」は、石ノ森先生の描かれた仮面ライダーの気持ちは残しながらも、村枝少年の感動が作った新しい作品と言えるです。
この仮面ライダースピリッツは、現在、第二部が描かれています。第一部では、仮面ライダー1号から、仮面ライダースーパー1までの歴代ライダーのエピソードが語られており、特に本編ではあまり活躍出来なかった、仮面ライダー4号ことライダーマンの活躍が感動もののお話になっています。 また、第二部では、お正月番組として1回放映されただけの幻の仮面ライダー ゼクロスを主人公として、描かれています。ゼクロスと仮面ライダー1号達の関係が、どうなっていくのか、そんなところも、第二部の楽しみの一つとなっています。
2004年12月26日
人型パソコン
『ちょびっツ』は、パソコンが人の形をしているという、今とは少し違う世界のお話です。主人公の秀樹は、少しすけべなんだけど、とても心の優しい浪人生。予備校に通う為、上京してくるところから、お話が始まります。上京して驚いたのが、パソコンが人のように生活している様子でした。秀樹もパソコンが欲しくなるのですが、浪人生としては、高価なパソコンが買えません。どこかタダで貰えないかなぁ〜なんて考えていると、運良く?ゴミ捨て場に捨ててあった人型パソコン(のちに「ちぃ」と名付けられます。)に出会います。そこから、ちぃと秀樹とのコミカルでいて、そして素敵なお話が展開されていきます。
タイトルのちょびっツとは何なのか? どうして「ちぃ」は、捨てられていたのか?といった幾つかの興味深い謎に惹きつけられます。でも、ちょびっツの一番の魅力は、純真無垢なちぃと、心優しい秀樹との交流が、どこか切なくて、そして暖かい気持ちにさせてくれるところにあると思います。
そんなちょびっツから少しだけエピソードをご紹介。
貧乏な秀樹は、生活のやりくりが大変です。バイト代も、予備校のお金、アパート代等に消えていってしまいます。そんな状況をみていた「ちぃ」はアルバイトを始めることを決心します。初めてのバイト代を貰ったときに、「ヒデキの欲しいもの、この中に入っているので買える…」給料袋を大切そうに持ってつぶやく「ちぃ」。秀樹が帰宅したとき、給料袋を手渡します。
でも秀樹は「ちぃ」から受け取った給料袋を返してあげます。「これはちぃのだよ。ちぃが働いたんだから、ちぃのお金だ」 一瞬、秀樹の欲しいものではなかったのかと顔を曇らせる「ちぃ」。でもその気持ちだけでうれしい、と秀樹に頭をなでられて「ちぃ〜」。うれしそう。
「ちぃ」の好きなものを買いなさい、と言われてまじまじを秀樹の顔を見ます。「…抱きついていい?」 いままで遠慮なく抱きついていた「ちぃ」ですが、誰にでも抱きついていいわけではないこと、好きな人に抱きつくことをアルバイト先の店長から学んだ「ちぃ」はそう尋ねました。
本屋で見つけた「だれもいない町」の絵本。初めてもらった給料で、この絵本を購入しました。この本をきっかけに「ちぃ」は、「あたしだけの人」を捜し求めるようになります。秀樹は、「ちぃ」にとって「あたしだけの人」になれるのか?
『ちょびっツ』は、ギャグ漫画(だって少年誌に連載されていたから)のカテゴリーの作品だと思うのですが、実はラブストーリーの作品なのかもしれません。
2004年12月12日
ぽっかぽか
麻美、慶彦、そしてあすかちゃんの田所ファミリーの日常のほのぼのした生活を描いた漫画です。タイトルのとおり、読み終えたあとに心が温かくなる作品です。漫画が嫌いな方にも、お薦めです。特別な事件とかが起きるわけではないのですが、人を思いやることの大切さが随所にちりばめられています。
TVドラマの方は、パート3までシリーズ化され、何度も再放送されています。でも娘のあすかちゃんが小学生になるまでのお話ということで、続編は作られないようです。ドラマ版も、素敵です。特に、あすかちゃんかわいいです。
この漫画の中で素敵なシーンがありました。あすかちゃんが、父(慶彦)に「ゆきおんなさんは悪いひと?」と尋ねます。父は「不勉強で申し訳ないがこれだけは言える。世の中に淋しい人はいても悪い人はいない。ちちは絶対そう思う。」
僕は、とても弱い人間なので、理想と現実で悩む部分は大きいのですが、慶彦の強さは見習っていきたいと思います。
2004年12月11日
観用少女
現実世界では、そんな生きている人形なんて存在しないのですが、このコミックスを読んでいたら、こういうのもありかな? という気持ちになってきました。内容的には、殆どが1話完結で、乾いた心がプランツドールと出会ったことにより、様々な運命を辿ります。ハッピーな終わり方もあれば、最悪の結末も。毎回、作者 川原さんのメッセージが大変良く伝わってきます。
プランツドールの設定を受け入れられない方も、プランツを恋人や愛しいペットと置きかえると理解出来るのではないでしょうか?